最後のお話

山口大学演劇サークル劇団笛令和6年度卒業公演「椅子は椅子」無事に終演いたしました。

ご来場いただいた方、遠くから念を飛ばしてくださった方、本当に有難うございました。

今回の公演で演出を務めました寺島です。今日のにっきは私です。

はちゃめちゃに長くなると思いますが読みたい方だけお付き合いください。


さて。

書きたいことはいっぱいあるのにうまく言葉になってくれませんね。ゆるゆる書きます。

私事ですが、演出ってお仕事を今回初めてやりました。

元々芸術を作る側に興味が強い人間でして「じゃあ演劇作ってみたい」と思ったのがきっかけでした。

合唱で2年ほど指揮者をやっていたことだけを自信の欠片として抱えてこの役職に就きました。

その結果、まぁ難しかった。何がって我儘を言うことが。

私は性格上我儘を言うのが苦手だってことを思い出しました。

皆が出してくれた案や解釈を「違う」の一言で曲げてしまうのが本当に怖かった。

決定権を持つ側は当人がどれだけ嫌がっても攻撃性を持つものです。

自分の言葉が持つその攻撃性が自分で許せなかった。

何度も自責しました。その度に自責をする自分を責めました。駄目な演出です。

でも、そうやって自責する度に公演メンバーが「演出さんは我儘を言うのが仕事だ」と言葉をくれました。

私の我儘に文句の一つも言わずに精一杯応えてくれました。

自信が無くなって丸まった背中にそっと手を添えられたような気がしました。

背筋が伸びる思いでした。

私は私に応えてくれるみんなに応えなければいけない。そう思いました。

「我儘を言う責任」というものがあるのだと知りました。

我儘を貫いて良いものを作り皆に返すのが私の仕事だと気付かされました。

その結果がこれです。妥協はしませんでした。責任を果たしました。

私は言える限りの我儘を言いました。

みんなはそれに本当に期待以上のものを返してくれました。

後悔を何一つ残さずに終えることができたと思っています。皆のおかげです。本当に。


私の持論で「人がコンテンツを続けるには3つの理由がある」というものがあります。

その3つの理由は「コンテンツそのものへの愛」「人への愛」「団体への愛」の3つです。

私が演劇をやってきた理由は「人への愛」だと思っています。

笛で出会う人たちが好きだからこの団体に所属して演劇に触れてきたのだと思っています。

極論、私は私の大好きな人たちを自慢する為に舞台芸術をやっています。

今回の公演メンバーも大好きです。自慢したい人たちです。自慢できたと思っています。

ね?私の大好きな人たち凄かったでしょう?

見ましたよね、あの演技。あのパンフレット。あの衣装。あの小道具。あの照明。

聴きましたよね、あの音響。

全部全部凄かったでしょう?

私の大好きな人たちが作ったんですよ。凄いでしょう。

彼らだったから最後まで好きでいられました。最後まで手を離さずにいられました。

私はそのことにただただほっとしています。

手を離さずにいられたのも彼らのおかげです。

そんな彼らにこの場を借りてラブレターを書かせてください。

前述の内容と被る点も多々あると思いますがお付き合いください。


2回生のみんなに

蒼くんへ

忙しい中稽古に参加してくれて有難う。

君が積極的に代役とプロンプをやってくれていたおかげで稽古がスムーズに進みました。

君には音響案を探す負担を任せっきりにしてしまいました。

曖昧な指示しか出さないくせに妙にこだわりの強い演出でごめんね。

それでも折れずに音源を探し続けてくれたこと感謝してもし足りません。

君が探してくれた曲は確実に舞台を彩ってくれました。

私の我儘に何とか応えようとしてくれて有難う。

大好きです。


永佳ちゃんへ

難しい役を頑張ってくれましたね。

椅子と4年生をステッキで殴るという動作にずっと困っていたね。

それでも必死に考えて頑張ってくれてとても有難かったです。

たくさん私たちの理想を押し付けました。応えてくれて有難う。

君がどんな難題もしっかりと受け止めて咀嚼して自分のものにしてくれたから椅子屋がどんどん良いものになっていきました。

本番、本当にかっこよかったです。

そして私が不安な時にハグさせてくれてありがとう。本当に救われていました。

大好きです。


航琉へ

何から感謝して良いやら分からないほど救われていました。

照明案を私が決めあぐねていた時に君が「それを決めるのは演出だから」って言ってくれたことで覚悟を決めることが出来ました。

他にも。叱ってくれたことで襟を正せたし、君がいてくれるおかげで稽古場が明るかったし、照明めっちゃ良かったし、単純に仲の良い君がいてくれたことで安心できた。本当に。

大げさでなく精神的支柱でした。

君に何度背中を押されたか分かりません。

不安になったとき航琉と目が合うだけでしっかりしなきゃって思えました。

ただ居てくれて有難う。

勿論、演技もとても良かったよ。大変だったね。頭抱えながらも頑張ってくれて有難う。

大好きよ。


3回生のみなさんに

岩永さんへ

稽古中、言論の自由をたくさん行使して頂きましたね。

貴女の鋭い指摘にいつも助けられていました。

私が気付けないことを拾って解釈を添えてくれるその視野の広さと言語化能力の高さがとてもとても有難かったです。

岩永さんがいてくれることで広がった解釈が確実にありました。

パンフの表紙!!言いたかったこと全部拾ってくれてて驚きました。

貴女のその理解力の高さは何に起因するのかしら。本当に驚くばかりです。

照明操作も完璧でしたね。当日にキューを変えるとかいう無茶を許してくれてありがとう。

公演期間中あまり話せなかった印象があるので機会があればまたお話したいわ。

貴女の話を聞かせてください。

大好きです。


春さんへ

恵、本当に良かったです。

この劇のキーパーソンを演じきってくれてありがとう。

ずっと出番があって待ちも多くて難しい役だっただろうに懸命に向き合ってくれて、その結果があの本番での恵だったのだと思います。

本当に素晴らしかったです。

貴女からもたくさんの言葉を貰いました。

我儘を言うのが演出の仕事だと教えてくれたから最後まで我儘を貫けました。

不安になる度に、自責をする度に、春さんがくれる言葉で立っていられました。

最後に貴女がくれた「誠実な演出さんでした」って言葉は大事に大事に持っていようと思います。いつかまた我儘を言うことに向き合わなきゃいけなくなった時の為に。

貴女のハグにも救われていました。本当に有難う。

大好きです。


亀山ちゃんへ

忙しかったね。そして道子難しかったね。二重苦でしたね。

その中でよく頑張ってくれました。苦しかっただろうに素晴らしいものを見せてくれました。

共感できない道子を任せてしまってごめん。

でも、貴女が演じる道子がオーディションのときから好きでした。

ヒステリックも狂気もちゃんと綺麗でした。

道子が貴女で良かった。

私が求めるもので苦しませてしまったけど次の練習には期待したそれ以上のものを出してくる貴女の強さとしなやかさにひたすら圧倒されました。

最後までついてきてくれて有難う。

大好きです。


近さんへ

小道具の制作につきますね。あれらは本当に凄かった。

血のりよく作ったねぇ。道子のエプロンも。文句なしに最高傑作でしょう、あれは。

加藤の鼻血の表現方法を考えて血のりを仕込むって考えついたアイデアが凄い。

そしてそれを実現した技術も凄い。

本当に素晴らしかったです。

解釈大会の時も積極的に解釈をくれたね。貴方のおかげで解釈が広がりました。

なにより、貴方がにこやかにいてくれることで安心できました。

照明操作も無茶をいっぱい言ったけど笑顔で許してくれて有難う。

大好きです。


さいさんへ

貴女には一度カウンセリングをしてもらってしまいましたね。

不安なんて後輩に見せていいものじゃないのに私の話を聞いて言葉をくれてその言葉が確かに私の杖になりました。

今回はちゃんとみんなのこと大好きなまま、手を離さないまま、終えることが出来ました。

貴女のおかげです。

私の「好きな人たちを自慢したいから舞台芸術をやってる」という言葉を聞いて貴女が「その考え方ができる人は演出に向いてますよ」って言ってくれたから、それを支えにして演出をやり切ることが出来ました。

貴女の言葉にも解釈にも大いに助けられました。本当に有難う。

そして貴女がその笑顔でいてくれることに助けられました。

照明操作も。よく頑張ってくれました。

たくさん練習してくれたから本番でのあの照明になったのだと思います。有難う。

大好きです。


和田ちゃんへ

正直、情宣制作の申し子だと思いました。凄すぎ。本当に。

非公開の特設ページ作りたいって思い付きをあんなに綺麗な整えられた形にしてくれるなんて思いませんでした。何事ですか。

結果としてとんでもなく仕事を増やしたのにそれはそれは楽しそうに細部までこだわってくれて驚きました。驚くなんて言葉じゃ足りないくらい。

何より楽しそうなのが見ていて嬉しかった。どこまでもこだわってくれて有難う。

そして貴女のその言語化能力の高さにも驚かされました。

私が言いたいことを一言で拾っていく言葉に助けられていました。

アクションシーンの稽古も大活躍でしたね。

椅子屋のアクション指導上手すぎ。圧倒されました。

何から何まで有難う。

大好きです。


さて、同期の2人へ

浦川くんへ

忙しかったでしょう。舞監として頑張ってくれて有難う。

貴方が取りまとめてくれていたから私は私の成すことに集中できました。

男も大変だったね。どうとでも解釈できるキャラだからこそ難しかったと思います。特に序盤ね。

悟とやり取りするシーン、本当に感慨深いものがありました。

発狂するところも苦しんでいたけど本番とても良かったよ。

深く深く考えて悩んで落とし込んでくれたのだと思います。本当に有難う。

そして君は、よくもこの狂った同期2人をまとめられるなぁと感心しています。

まとめてるというよりも放任のような気もするけれど。

君がその穏やかさで構えていてくれるから私たちは好き勝手出来ました。

私の我儘を許してくれて有難う。

君と同期でいられて良かったと心から思います。

大好きです。


くますけへ

悟を演じるのは本当に君しかいないと思うよ。とてもとても良かった。

君の感情が露になる演技と軽快な演技が好きです。今回の劇はどっちも堪能出来てお得でしたね。

君とは解釈がぶつかることもあったね。そういうときでも考えて考えて何とか自分の中に落とし込んでくれて助かりました。

納得するまで議論を重ねてくれる君の姿勢が有難かったです。

そして何より感謝しなきゃいけないのは君がいてくれることで稽古場が明るくあったことです。

私自身が比較的苛烈な人間なので稽古が進むにつれて皆を傷つけてしまったり雰囲気を悪くしてしまうのではないかと不安に思っていました。

でも、実際は君がいてくれたおかげで楽しく稽古できたと感じています。有難う。

今回のこの公演は君が卒公やりたいって言ってくれたから実現したものです。

おかげさまで良いものを作れました。本当に有難う。

大好きです。


11人へラブレターを書くなんて滅多にない経験ですね。

こうして言葉を残したことでみんなを嘘偽りなく愛していたのだと言えるような気がします。

皆と演劇が出来て本当に本当に幸せでした。

私にできることはすべてやりました。

この劇が面白くなかったのならそれはひとえに私の力量不足です。

が、力量不足だとしても後悔はありません。

改めまして、ご来場いただきまして有難うございました。

この劇を見た皆さんの中に少しでも何か残るものがあったことを祈っています。

長々と有難うございました。

では。


P.S. 私はこれから就寝しますがきっと今回の公演についてもっとできただろうと自分を苛む悪夢を見るでしょう。楽しみにして寝ます。おやすみなさい。

山口大学演劇サークル劇団笛 令和6年度卒業公演

山口大学演劇サークル劇団笛 令和6年度卒業公演「椅子は椅子」

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